グルメ
世界の食を担う国を目指すためには、一体何が必要か……?

そのビジョンを考えてみたいと思います。


【日本という地域の特性】


世界に比べて、日本が秀でているものは一体何なのか?
その強みで一点突破することにより、世界への道は拓けるのではないかと思っています。

例えば、広大な大地に移住したアメリカやオーストラリアは、その土地の広さを活かして穀物や畜産を強化してきました。
これらは、もう既に世界中を席巻しているのはご存知の通りです。
そして、オランダやイスラエルは、その技術力を活かしてトマトや技術で一点突破し、世界のトップをリードする産業へと育てています。

こうした国に比べ、日本の環境は、四季があり温暖多湿で病害虫や雑草も生えやすく、さらに長年の降雨により土壌養分も喪失している……という、実は農業に向いている国とは言えないのですが、そうした環境を改良してきた技術において、世界の最先端を走っていると言える部分が幾つかあります。

まず、インフラ整備の部分。
農業や、食を巡る周辺環境は、日本ほど整っている所はなかなかありません。
低温で管理しつつ流通させるという、コールドチェーン技術はこれからの東南アジアやアフリカ市場においてかなり優位を得ることができるでしょう。

続いて、土壌改良技術。
日本のオタクっぽさは、土壌改良……つまり、『土作り』技術において、世界のトップレベルと言ってもいいと思います。
前述した通り、長きに渡る降雨によって塩基類が溶脱してきたり、リン酸を固定して吸収しにくくしてしまう火山灰土が主体の日本の土壌を、ここまで肥沃に変えてきた土壌改良技術は、元々塩基類が豊富な欧米に比べても優位にあると言えるでしょう。
こちらも、さらに溶脱が進んでいる東南アジア土壌において、今後は重要なポイントになってくる部分だと言えます。
ただし、きちんとした原理を理解している人であれば、ということになりますが……。

細かい部分を見ていけばまだ幾つかはありますが、今回最も強調したい部分というのがこちらです。

……それは、『味』です。


【日本の農産物は世界で一番おいしい!?】


東南アジアへ行って分かったのですが、非常に野菜が『大味』なんですよね。
もっと極端に言えば、味がない。
これは何故かと考えていたのですが、以前に出稼ぎに行った西表島でも同じような味の作物がありました。

この事を農学的に考えてみると、それは日本の『寒暖差』が影響していると言えます。そして、先ほどデメリットして伝えた『四季』も。
どういうことかというと、植物に限らず、生物は皆、寒いと体に糖分や脂肪を蓄えます。

……これが、甘さや旨味になるわけですね。

一般的に、体内の濃度を高める凝固点降下と呼ばれる現象と、寒さによる呼吸量の低下により、日中の光合成で蓄えた糖分を、植物は夜間の呼吸によって消耗させなくなるのです。
こうした環境により、日本は世界でも珍しいほどの『自然に食べ物が美味しくなる条件』が揃っていると言ってもいいのではないかと思います。

逆に言えば、こうした条件が整っていない欧米では、調味料やソースに重点が置かれるようになりましたし、東南アジアなどの暑い地域では、香りの強いスパイスや、辛さが重視されるようになっていったようです。

こうした食文化を考えると、その背景には、その国の特徴に応じた農業環境があることが分かってくるわけですね。

というわけで、日本が世界に誇る特徴は、私は『味』であると思っています。