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ご当地グルメ
  • 2012.06.04


山椒というと何を思い出しますか?

鰻にかける缶に入ったものだったり、スーパーで売っている瓶のもの、あとは中華料理で使う花椒(ホアジャオ)を思い出す人もいるかも知 れません。 今回皆さんにご紹介するのは、日本で使われている山椒の中でも極上のもの。実際の所、 それがどんなところで作られているのか、気になりますよね。そんなわけで、この春先に 生産者さんを訪ねてきました。場所は和歌山県海南市。大阪から特急で1時間 半ほどの所にあります。熊野古道の入り口で、 海に一番最初に近づく場所ということからついた名前の町にある「山本勝之助商店」さん は、最近関西では最高の造り手とも言われている山椒の造り手さんです。 実は生産量も日本一は和歌山県!


ぶどう山椒。粒が大きく、実は房なりです。

山椒というと京都のイメージがある方が多い かと思うのですが、その生産量の第1位なの は和歌山県なのです。 京都で作られている山椒と、和歌山で作られ ているものの大きな違いはその品種。京都や 国内の他の地域で作られているものは「朝倉 山椒」という品種がメイン。とげがなく、収 穫しやすいという特徴があります。 一方、和歌山県で主に育てられているのは、 「ぶどう山椒」といわれる、山椒の実の粒が、 ぶどうのように房なりになるもの。粒も大き く、香りや味もしっかりしています。こちら は朝倉山椒と違い葉や茎に鋭いとげがあり、 収穫の時に手間がかかることでも知られてい ます。 山椒って何色?


実はこれが本当に状態のいい山椒の色なのです。

山椒というと、瓶詰めで売られているものの イメージが強いせいなのか、実際の色のイメ ージが「茶色」という方が多かったりします。 でも、収穫された実の写真は鮮やかな緑色。 実際の所どんな色が本当の色なのでしょうか。 上のアルミパックから出された粉末は、山本 勝之助商店さんで取り扱っている山椒粉です。 驚くほど鮮やかな緑色に驚かれた方も多いの ではないでしょうか。実はこのような綺麗な 色になるのには理由があるのです。 新鮮さを保つ技術と、細やかな手作業の生み出す色と香り。


引く前の「実山椒」を乾燥させたもの。

とげが多いことから、山に入って手作業で地 元の方が収穫するのが大変な和歌山のぶどう 山椒。粉にする前に乾燥させる訳ですが、こ こからの工程で先ほどの綺麗な色を出す秘訣 があるのです。 この上の写真をよく見てみると、時々山椒の はじけた粒の中に、黒い粒のようなものが入 っているのが見えませんか? これが実は山 椒の「種」なのです。ちりめん山椒や実山椒 の佃煮は生の状態で柔らかい未成熟の種を食 べるている状態のため、それが食感として気 にならないのですが、それが乾燥する間にしっかりと成熟するとこのような種になります。 スーパーで販売されている瓶入りのものはこ の種も一緒に機械で挽いてしまうため、店頭 で見かけるときは茶色っぽい色になっていま す。 ところが、山本勝之助商店さんでは、乾燥し た山椒から手作業で種をできる限り取り除き 、瞬間冷凍してそれを保管し、出荷のタイミングで石臼で挽いているのです。


昔ながらの石臼で挽いては何度もふるい、細かく挽いていきます。

それ故の鮮やかな緑色。山椒は昔から、七味 の中でも高価なもののひとつですが、これだ け手がかかるのなら当たり前だと言えますね。 もちろん、色だけでなく、香りや味わいもと ても鮮烈。これまで香りのイメージしかなか った山椒の味わいの印象が覆されるような、 刺激的な風味を持っています。 本当の山椒のおいしさを知って欲しい。


山本勝之助商店の社長、土田高史さん。

しかし、この山椒、なぜか首都圏や東の方で はあまり流通していないのだそうです。西の ほうでもようやくその名前が知られるように なってきたばかり。昔からよく知られている 食材でありながら、これから広がっていこう としているものでもあるのです。 「ぴりぴりとした電気的な刺激は、海外の方 からも引き合いがある事があるんです。チョ コレートに入れるということで、フランスへ サンプルをお出ししたこともあります。実際、 鰻にかけて使うくらいですから、チョコレー トやアイスクリームにかけるとすごく合うん です。脂肪分に良く合うんですね」と社長の 土田さん。びっくりするような組み合わせで すが、私もコンビニでよく売っているちょっ と高級なバニラアイスに山椒を振って食べて みたのですが、これは癖になるような味。バ ニラアイスのこってり感に、意外なくらい山 椒の風味がぴったり合うのです。 そんな風に、思いもかけない使い方が出来る のが、山本勝之助商店の、手をかけて作られ た山椒商品のいいところともいえるでしょう。 山本勝之助商店の山椒が東京にやってくる!


昨年伊勢丹新宿店に初出店したときの様子。

そして、その山本勝之助商店の山椒が、東京 にもうすぐやってきます。6月6日~11日 に伊勢丹新宿店6階で行われる「チアアップ! ニッポンの“食”展」の和歌山ブースに今年 も出店するのです。山椒粉だけでなく、ホー ルで挽けるミル付きのタイプのものや、佃煮 などの加工品のギフトセット、そして今が旬 で、ほんの短い期間しか出回らない生の実山 椒などもやってきます。石臼引きの実演もあ るので、当日の会場はその香りでいっぱいに なっているのではないかと思いますが、この 出店、我々ザックザックのスタッフも終日お 手伝いに参加しています! ぜひお気軽にお 声をおかけくださいね。この記事には書きき れなかった本当の山椒の秘密をもっともっと お伝えしていくことが出来たらと思っていま す。そして、本物の山椒の味と香りを体験し、それを食生活の中にぜひ取り入れていってく ださい。今までになかった新たな料理のバリエーションが生まれること請け合いですよ。

文&写真: 井出玲子