HOME今週のZファーマーアグレッシブなZファーマーたち米作りと酒造りの概念を覆す、オトコマエな2人に密着!

今週のZファーマー

冨田泰伸(冨田酒造15代目)、前田壮一郎(野良師)さん

ファーマーDATA

名前: 冨田泰伸(冨田酒造15代目)、前田壮一郎(野良師)さん 滋賀県木之本町&余呉町

とにかくオモロいことしたいッスね。農業も日本酒も落ち目って言われてるけど、だからこそやり方次第で可能性はいくらでもあるんやないかな

(text by 鈴木和歌奈

仕事の仕組み

前田さん:ご飯の米と酒用の酒米を生産。ご飯の米は直売や、問屋や農協におろし、酒米は冨田酒造に提供。冬は、酒造で冨田さんと酒造りに励む。自分の米を使った銘柄「天地の唄」も販売。時々、特技を活かしてカヌーのインストラクター、家庭教師の仕事もやる。

冨田さん:390石の日本酒を生産、出荷。地酒として滋賀県の酒店や飲食店に。他に東京、京都、名古屋など県外にも。海外進出も果たした。

年間スケジュール

前田さん:4月から10月まで米作り。余呉町にある50反の田んぼで耕作、田植え、草刈り、稲刈り、収穫をほぼひとりでこなす。11月から2月までは冨田酒造で酒造り。3月や7月は、少し仕事が減るのでオフとして旅行や山登り、スキー、カヌーなどを楽しむ。

冨田さん:11月から2月まで酒造り。1年を通して冨田酒造の当主として、販売、流通、企画・PR、ブランディングに励む。

初期投資
星3つ
手間
星5つ
ギャンブル度
星2つ
難易度
星4つ

VOL.07 進路に迷ったら山に登れ!

2009.04.07 Tue
名古屋から滋賀に来たときの衝撃を語る前田氏 米作りのみならず、イベント主催やオリジナル商品まで手がける野良師前田さん。なぜ農業の道に?野良師になったきかっけは?冨田さんとの関係は?聞きたい事多すぎです。

「実は、名古屋市の街中の生まれなんです」。農業への意識が芽生えたのは、名古屋を離れて滋賀県立大環境科学部へ進学したときだという。意外にも都会っ子だったんですね。

「名古屋では自然に関わる機会がなかったんです。でも滋賀に来たら、山、湖、田んぼが広がっていて狸や狐とかが普通にいて。もうなんやこれって!カルチャーショックでしたね。その中で、目の前の田んぼの米ってどんな風に流通してるんかな、って考えたり、そもそも暮らしって何や?って考え始めたんです」

いやいやいや、田んぼ→食の流通という発想、なかなかできませんよ。

「決定的だったのは、大学4年生で水質調査のためにモンゴルのツアーに参加したときかな。調査より、モンゴル人の暮らしがすごく面白かったね。飼っていたヤギをさばいて食べるとかね。別にとびっきり美味しいわけじゃなくて、むしろ質素なんですが、そこにあるものを食べて暮らしていく。それを見ていたら、悔しくなったんです。この人たちは目の前にある物で楽しくシンプルに生きてるのに、日本人は流通に乗ったものしか食べてない。これがホンマに豊かな生き方なんか?と。自分て何やってるんだろう?と。そしたら、大学院の研究なんかどうでも良くなってしまって(笑)だって、教授ならまだしも学生ができる理系のホンマに細かい研究って、暮らしに提言できないじゃないですか。それで、興味があった農業をやろうと思ったんです」

偶然にも、モンゴルのツアーを企画しているイトー隊長が、鞭打ちになりそうなほど激しくうなずいている。モンゴルがきっかけで酒蔵につながるのが面白い。

それで、アッサリ大学院を中退し、前田さんは滋賀県彦根市にある農業法人に就職。米、麦、大豆をメインに大規模栽培しているところだった。
「米作りやってるところを選んだのは、ハードルが高いから。野菜だったら趣味で作ってる人がいるけど、米ってなかなか一人で始めるのが難しい。だから、せっかく農業法人に入るんやったらノウハウや機械の使い方を覚えてしまおうと思って」

しかも、そのときは、野良リーマンと名乗っていたのだとか。

「そこでは、ホントいろいろ勉強させてもらいましたね。でも、しばらく働いているうちに、独立したいなと思い始めたんですよね。どこか、やれるところはないやろかーと探していたら、たまたま友達から『余呉に田んぼを任せたいっていう人がいるでー』と。そりゃ一瞬、迷いましたけど、やるなら今しかない、と余呉に引っ越してしまいました。だから、地元でもないし、親戚や知り合いがいたわけじゃないんですよね」

左から三番目が前田さんの作っている酒米「玉栄」
前田さんのつくったお米「玉栄」が右の「天地唄」になる日本社会の無駄なシステムに疑問を抱くのは誰でもできるけど、農業の道に進んで、独立しちゃうとは。雑念がないのがすごい。

「ヤスさん(冨田さん)との出会いもそのくらいだったかな。『面白い子がいるよ』と知り合いに紹介してもらったんです」。2人の息のピッタリぶりから、同級生かと思いきや、割と最近の出会いだったみたい。それじゃあどうして酒蔵で働く事に?

「余呉は、豪雪地帯なので農業をしようと思っても冬は仕事がないですよね。そこで、キューバを旅しようか、勉強がてら飲食関係のバイトでもしようかと考えていたんです」

なぜキューバ?サルサとチェ・ゲバラしか思いつかない‥‥。やっぱり革命家の血が騒ぐんでしょうか?

「キューバは、有機農業が盛んで自給率が高いことで有名なんですよね〜。その現場を見たくて。そのためにスペイン語も勉強しようとしていたんですけどね」

大物マグロを見事釣り上げた冨田さん そんなとき、冨田さんから「一緒に酒造らないか」というお誘いがあった。そりゃ、こんな頼もしそうな好青年が近くにいたらほっとけないですもん。釣り針にかかった大物マグロをみすみす見逃すようなもの。私は釣ったことないけど。

「でも、キューバも捨てがたいし、他にやりたいことも沢山あるしなあ。ちょっと考えさして」と返事を保留。

前田氏が悟りを開いたとされる山そして、前田さんは山に入って行ったという。

「それまで、全然答えが出なくて、もうめちゃめちゃ迷ってたんですけど、山で、突然『今は求められているところに行ったほうがいい』ってひらめいたというか、答えが出たんですよねー」

悟り?神のお告げ?山で天啓を受けたとでもいうのだろうか。

これは穂高、じつは山登りは趣味でもある 「あはは。かもしれない。実際、登った山もそのときのこともあんまり良く覚えてないんすよね〜。あれは何だったのか‥(笑)」。やっぱり、革命家は神がかっているのか‥。

半農半蔵人の生活が始まって4年。冬の一日は朝5時半から作業が始まり、2時間の休憩で昼ご飯と仮眠をとったあと、また17時半まで仕事が続く。菌に「今日は休みたいから、発酵しないでくれ」と言ったところで待ってくれない。ほんとに冬の4ヶ月は全然休みがないという。間違いなくハードな仕事だ。

「スペイン語の勉強も今中断しているし、もうちょっと時間がほしいと思うときもあります。なにせ、やりたいことがいっぱいあるんで、ははは」

今でも十分すぎるほどアクティブなのに、もっとやりたいことがあるとは。いにしえの七本槍もこんな眼をしていたのだろうか。

ゆるゆるでもなく、ガツガツしたかんじでも、ましてやギラギラでもないこのさわやかな熱さ。希少だ!と心の中で叫びながら、こういう人物が現代にもいるのかとうならされる。

ますますこの人物に目が離せません!前田さんの野望さらにさらに!

冨田泰伸(冨田酒造15代目)、前田壮一郎(野良師)さんが作った商品を直接買うことができます

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今週のZファーマー

Zファーマーとは、自分で考え、工夫や発明を重ねて、クリエイティブな農業を営む農家のことです。

川部正巳さん

A.がっぽり型

川部正巳さん

滋賀県米原市

占いの人に聞いたら、土か火に関係する仕事が向いてるよって言われたんです。火といえば、消防士でしょ。でも、応募年齢過ぎててあかんかった(笑)。陶芸家、花火師、造園業とかいろいろ考えて、美味しいもの食べるの好きやし、農業がいいかなって思ったんですよね。

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